調理家電は高級志向に。ヘルシーとちょっと贅沢がキーワード。
昨年の事になりますでしょうか。PHILIPS社のノンフライヤーがスマッシュヒットとなり、例によって類似商品も多数登場し、家電業界にもノンフライ旋風が起きました。商品のコンセプトも然ることながら、高粗利と多額のリベートを獲得すべく多くの家電量販店が先行予約を争っていたのが思い出されます。
ここ数年の調理家電は「ヘルシー」、「ちょっと贅沢」の二つのキーワードがトレンドになっています。これは現在の「おうちご飯」のヘルシー化、高級化が進んでいる世相を表していますよね。
ヘルシー調理家電の先駆けは、その名の通り「ヘルシオ」だと思います。2004年に発売されたシャープの電気ウォーターオーブンです。当時のシャープの力の入れようは半端じゃなかったです。シャープマーケーティング内の強烈な営業部隊であるATOM隊という部署の面々が全国で量販店店員を勉強会で洗脳、いや、講習漬けにしていたのが印象深いですね。
店員的に画期的だったのは、加熱水蒸気で余分な脂分を落とすなんて事ではなく、あくまでもオーブン機能のみだった事ですね(笑)。最初にその話しを伺ったときは
「は?????」
「なんでレンジ機能付けないの?」
「売れると思ってるの???」
等と思ったものです(笑)。ATOM隊は自信満々でしたが、売るほうの立場になってくれと。実際問題、初代はこのせいで売るのが結構苦戦しましたよ。なんせレンジ機能がついてないものだから、ただの温めに15分とか掛かっちゃうんです。お客様には決まって、
「健康と時間とどっちを選びますか?」
と説得した店員も多いのではないでしょうか。健康も時間も選ぶのが正解だと思いますけどね。暮らしを豊かにするのが家電製品ですからね。そういう意味では罪深い商品だったかもしれませんね。
肝心の「業界初の家庭用で加熱水蒸気で徹底的に脂分を落とす!そしてさらに美味しい!機能」は、素晴らしいですね。美味しく、さらにヘルシーに。今の時代にぴったりなコンセプトだと思います。最新型の知識がまだ不足しておりますので、ここでご紹介するには忍びないのでやめておきますが、一つのブランドとして「ヘルシオ」は間違いなくおすすめの調理家電ですよ。
最近では10万円を超える炊飯器は珍しくありませんが、2006年頃は、高くても59,800円~69,800円ラインでした。そんな中登場したのが、三菱の本炭釜炊飯器NJ-WS10です。
当時の最初の価格設定は脅威の10万超え!電気炊飯器で唯一、炊き上がりの表面に「かに穴」が出来るという触れ込みでデビューし、炊飯器一撃10万超えという事で、売る側のテンションも上がる商品でした。高額でしたが予想以上に売れた為、あくまでも推測ですが、各メーカーが
「あ、高くても売れるんだ!」
と、思った事でしょう。この商品以降、次々と高額な炊飯器が登場します。各メーカーがやたらと内釜の構造にスポットライトを当ててきましたね。以前にも、タイガーがVitaCraft社の内釜を採用したり、三菱も炭釜の前はヴェローナゴールド社の内釜を採用したりしてましたが、各メーカーは基本的には炊飯方式で争っておりました。今では、炭釜はもちろん土鍋釜や羽釜なんてのもありますね。おうちで「美味しいご飯」を食べる為に、ちょっと贅沢な炊飯器をという流れを作ったこちらの商品のコンセプトは素晴らしかったと思います。基本的に炊きたてはその炊飯器でも美味しいんですけどね(笑)