あぁ家電人生

現在は札幌在中のフリーランサー。元家電量販店の店員があなただけにそっと教える内緒話。のつもりでしたが、思ったことを思ったように。家電、サッカー、文房具etc

プロの家電量販店員の特性を理解した上で商品を選ぶコツとは。

 「お客様の満足する顔を見るのが私の幸せです。」

と、言っている店員さんは多いですよね。それはそれで正しいです。私もお客様の笑顔に何度救われた事があるかわかりません。

 

 それでは次はどうでしょう。

「お客様に最適の商品をご提案するのが私の仕事ですから。」

 これも良く言われるセリフですね。これが「本心」じゃなく、「建前」で言っているのなら優秀な店員かもしれません。えっ?何を言っているかわからないですか?つまりはこういう事です。 

 

 

プロの家電量販店員とは・・・

 

 プロの家電量販店員とは、「お客様に最適の商品を提案するように見せかけて、自分の売りたい商品を売れる店員」です。もちろん自分の売りたい商品を無理強いするような店員はプロではありません。自分の売りたい商品の特徴を全て把握した上で、お客様にどのような機能が欲しいか、どのような使い方をするのか等をヒアリングします。そして、絶妙な言い回しで、自分の売りたい商品がお客様の生活スタイルにはピッタリですね!と薦めるのです。それが出来るのがプロですね。お客様の欲しい商品をそのまま売っていたら利益が出ない事もありますしね。【売りたい商品=高利益の商品】ですから、当たり前ですよ。実際には、売りたい機種は一つのカテゴリーに3機種程度は設定されているでしょうから、その中で振り分ける事が出来る店員はプロですね。

  

 

店員が絶対にやってはいけない事は・・・

 

  店員が絶対にやってはいけない事は、「嘘をつくこと」です。ついていない機能をついていると説明したり、消費電力がAとBでAの方が高いのに、Aの商品が省エネですよ、とは言えません。

 その代わりに、嘘ではないですが、お客様に聞かれていない事を説明してもしなくてもいいと思われます。ただし絶対に言っておかなければならない事は別です。例えば、シャープの液晶テレビはメニュー表示を英語表記に出来ますが、普通の人には必要の無い機能ですよね。これはわざわざ言わなくてもいい機能です。逆に絶対に言わなければならない事は、通常設置する際は、別途部品が必要ですとか、回線の申し込みで何年は解約出来ません等の情報はご説明しないと後々大変な目に逢うでしょうね。 

 

 

例えば洗濯機売り場で・・・

 

 洗濯機が欲しくて電気屋さんに行きました。お客様の予算は高くても10万。もちろん安ければ安い方がいいですよね。マンションに住んでいて、要望としては汚れ落ちが良くて節水タイプがいいなと思ってます。家族構成が4人と仮定します。どうですか?結構一般的な条件ですよね。対する店員は、そうですね、やはり高単価なドラム式洗濯機を売りたいですね。でも10万のご予算に対し、20~30万円の洗濯機を薦めても意味が無いですから、一番お買い得なドラム式に引き込んで、出来ればそこから上げていく接客ストーリーを頭の中では構築するでしょうね。

 ドラム式洗濯機を売る時に使うキーワードは、「節水」「叩き洗い」の2つです。ご予算的を考えて、シャープのES-V540で説明しますね。節水の点ですがこちら洗濯時の使用水量が69Lと節水は間違いないですからまずここを説明しますね。ご参考までに一般的な縦型の全自動洗濯機は使用水量が90~100L前後です。問題は洗浄力の点ですね。ここは叩き洗い方式を熱心に説明しますね。「昔の人は叩いて洗っていたでしょう?見た事有ります?結構泡立ちますよね。」等の余談を挟んで説明しますが洗浄力に優れているとは説明しません。何故なら優れていないからです。

 洗浄力が優れている洗濯機→叩き洗い方式で節水しながら洗える洗濯機、と論点をずらしている訳ですね。それこそ一枚一枚叩いて洗っていたら洗浄力はあると思います。しかし、あのドラムの中にたくさんの洗濯物を入れて洗っているわけですよ。量が多くなればなるほど落差が無くなります。つまりはそういう事です。留めの一言として、生地に優しいドラム式と伝えます。お分かりだと思いますが、生地へのダメージと洗浄力は比例します。生地がゴシゴシ擦れると汚れ落ちも良くなりますが、痛みも大きくなります。

 誤解の無いように申しておきますが、私は別にドラム式が駄目な洗濯機とは思ってません。乾燥まで考えている方には、縦型よりも断然ドラム式です。化繊ならまだ皺も少ないですが、それでもドラム式のほうが皺は少なく仕上がりますね。

 話が反れましたが、店員のペースに嵌らないで、あくまで自分のペースで接客を受けることを心掛けましょう。論点ずらしはプロ店員の必殺技です。

 

 

店員との勝負に勝つために・・・

 

 接客には大きく分けて2つのパターンが御座います。店員に質問をしながら答えを聞く接客と、店員側から商品説明・機能説明を聞いている接客です。この2つのパターンを織り交ぜて一つの接客活動となる訳です。店員側からみると、自分の売りたい商品の説明を聞いて貰いたいのに対し、お客様からみると、自分の聞きたい事を答えて貰いたいはずです。主導権を店員に取られない為にも、出来るだけ積極的に聞きたい事を聞いてみましょう。上にも書きましたが、自分が売りたい商品を売るために、言わなくてもいい事をわざわざ言う店員はそうそういません。もしも、わざわざマイナス要因を説明する店員がいれば、お店としては無能店員ですね。いい人でしょうけど(笑)。