あぁ家電人生

現在は札幌在中のフリーランサー。元家電量販店の店員があなただけにそっと教える内緒話。のつもりでしたが、思ったことを思ったように。家電、サッカー、文房具etc

ライカカメラとレンズが値上げするそうですが…

 

ライカのMシリーズと交換レンズが3月5日から値上げするそうですね。


ライカMシリーズと交換レンズが値上げ - デジカメ Watch

 為替の影響もあるのでしょうか。意外と家電製品は為替や国内外の情勢や自然災害の影響を受けやすいところがあります。今日はそんな一例のお話です。

 

台湾 921大地震の影響で…

 1999年9月に台湾中部で発生した大地震がありました。

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 この地震の直後から、在庫確保が困難になった商品がありました。それは当時急速に家庭で普及しつつあったパソコンです。パソコンに必需品のメモリが入手困難になり各メーカーが製造を休止する事態になっていました。特にIBMNECK6-2搭載の比較的リーズナブルなパソコンが需要に対して全く供給が追いつかなかったですね。現地の被災者の方を想えば、そんな事を思うほうがおかしいと今は思えますが、当時は売り上げ命で仕事してましたからね。大事な何かを忘れてしまっていたのでしょうね。

 

新潟県中越地震の影響で…

 2004年10月に新潟県中越地方を震源として発生した新潟県中越地震でも一部の家電製品に大きな影響がありました。

 某国内最大手メーカーの空気清浄機のフィルターが全く生産出来なくなったのです。空気清浄機の新型は秋冬に発売される事が多く、店舗にとっても新型が売れないのは利益に直結しますのでこれも現場にとっては大きな問題でしたね。旧型を在庫確保出来ていても、旧型はいくら売っても売り上げ、利益ともに薄いですからね。

 

東北地方太平洋沖地震の影響で…

 記憶に新しい3.11東北地方太平洋沖地震の影響は計り知れないものでした。それはもう言葉で表せない程の傷跡を日本全国に残していきましたが、私が個人的に最も影響されたお話を今日は一つだけ。

 当時、法人営業をしていた私の得意先に病院が多く含まれて降りました。国公立の大学病院から、大きな民間病院、そして小さなクリニックまで大事なお客様として取引させて頂いておりました。

 そして3.11がありました。私の働いていた家電量販店でも被災地に向け、大量の在庫移動をかけました。ただ、その為に困った問題が一つ。

電池が無い。。。

 電池が日本中で無くなりました。特にポータブルストーブ、懐中電灯で使用する頻度の高い単一電池の在庫が無くなりました。被災地優先でうちの営業所でも在庫を全て東北に送ってしまったので、全く在庫0の状況です。

 そんな状況でもお客様からのご注文はもちろん毎日届きます。電池が無くなる事を見越してなのか、そういう情報が入っていたからなのか、電池の注文ばかり届きます。これは困りました。在庫切れの連絡を全ての顧客に廻ります。どこでも言われるお言葉は、

看護師さんの夜の巡回できなくなるじゃん。

と。まぁ、そうですよね。これは何とかしないとと思いついた商品がコレでした。

 サンヨー(当時)の大ヒット充電池エネループのスペーサーです。これは単三電池を単一電池に変換出来るモノです。幸いなことに単三電池はまだ在庫が確保出来そうでした。スペーサーもお世話になってるメーカーの営業さんのご好意で、ある程度在庫が確保できました。

 

 無事に難局を乗り越えることが出来ましたが、当時はこれが精一杯でした。今思えばお客様、被災地の方にもっともっと色んなことがご提案出来たのではないかと考えさせられます。